2019年9月12日から9月15日まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2019(12、13日はビジネスデイ)。このビジネスデイ1日目のe-Sports X REDステージにて、日本eスポーツ連合(JeSU)の活動報告および、国内施策と海外戦略を発表が行なわれた。

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今後は“検討会”、“オンライン大会”、“eスポーツコンテンツ放送へのサポート”も実施

 ステージに登壇したのは、日本eスポーツ連合(JeSU)の会長である岡村秀樹氏。岡村氏は活動状況としてまず“経済産業省から事業を受託した”ことを報告した。

 これは、国内のeスポーツの取りまとめをJeSUが行い、事務局をやりなさいと受託されたということであり、岡村氏としても、それこそが私どもが取り組むべき事業そのものと語った。

 これを受け、JeSUではeスポーツの“経済効果”と“社会的意義”を改めて洗いだし、とくに社会的意義については“地方の再生”や“共生社会の実現”といったものも見込まれると考えているという。

 この“eスポーツの社会的意義”について岡村氏は国内ではここに関する議論や検討があまり行われていないと考え、この議論や検討をすることはeスポーツそのものの健全かつ多面的な発展にも極めて重要とした。そこで、各界を代表する専門家を招いて検討会を行っていくという。

 検討会にはプロゲーマーからはときど選手やたぬかな選手を招き、ほかにもコミュニティや学識経験者、メディア、メーカー、さらには教育、金融、法律など、幅広い分野から16人を招くという。この検討会は誰でも傍聴できるフルオープンで開催するとし、その第1回を9月24日に東京証券会館で行うとのことだ。

 続いては地方支部の展開について。29県、37団体からの応募があったとのことで、現在は審査を行っているところだという。年内には新支部を発表していきたいということだ。

 JeSUの公認ゲームタイトルについて、2019年9月5日に新たに『デッド オア アライブ 6』を追加して12タイトルとなったとのこと。『デッド オア アライブ 6』は9月14日(土)に東京ゲームショウ2019でJeSU公認大会が開催されるが、この大会でプロライセンスの発行を行う。

 また、公認大会については、これまでは不正防止などの観点からオフラインでしか行ってこなかったが、今後はオンライン大会も開催していくという。大会規約は今秋改訂予定で、オンライン大会では幅広い地域の選手にプロライセンスの発行や賞金獲得のチャンスが生まれるとしている。

 JeSUではさまざまなタイトルのサポートを行っており、発足から1年半でイベント・大会の後援件数は35回に。月にすると3回ほどのペースで積極的に行っているということだ。

 その一方で、eスポーツの多様性を見据え、“HADO”というウェアラブルデバイスとAR技術を駆使したコンテンツを紹介。公認タイトルとしてプロライセンスの発行も検討しているという。TGS2019でJeSUブースで体験会と発表会を行うということだ。

 JeSUでは今後、eスポーツコンテンツを放送することについて品質向上を目指す放送委員会も発足したという。配信のサポートを行い、eスポーツの発展、普及の促進を行っていきたいとのこと。配信におけるノウハウをまとめた配信サポートマニュアルを9月末にJeSU公式サイト上にて公開予定だという。

eスポーツに関する法規制への取り組みについて:経過報告

 これまでも国内における問題となってきた“賞金”や“会場における入場費”の扱いだが、これについての法規制の取り組みが岡村氏より報告された。

 JeSUでは、“仕事の報酬”として大会賞金の提供を行う方法を提示し、仕事という形を確かなものとして保証するものとしてプロライセンス制度を用いてきたところがあるが、これについて“プロライセンスという制度にとらわれず景品表示法の規制がどのように適用されるのか”を、消費者庁に見解を求めたという。

 ノーアクションレター(法令の規定の適用対象となるかどうか、あらかじめ伺う手続き)にて、「A,賞金の提供先をプロライセンス選手に限定する大会」と「B,賞金の提供先をプロライセンス選手に限定しないが、一定の方法により参加者が限定されている大会」の2通りを想定し、どちらが景品表示法に違反するのかを確認したという。つまりは、賞金の提供にプロライセンス制度が必要かどうか、だ。

 消費者庁からの回答は「違反しない。」というもの。仕事の報酬などの提供と認められる場合は、どちらのケースでも違反とならないということだ。この詳細については消費者庁のWebサイトに掲載されているとのこと。

 岡村氏はこの回答を得られたことで、プロライセンス制度に用いない大会の開催と賞金の位置づけが明確になったとし、eスポーツ界において大きな前進として、今後はこの回答を踏まえて、大会環境や競技環境をより充実したものにしていきたいとし、また、プロライセンスそのものは賞金授与の仕組みを越えた付加価値の高いものにしていきたいと語った。

 続いては刑法・賭博罪。いわゆる、大会の参加者から参加料を取った場合、その参加料から賞金を提供した場合、賭博行為に該当する可能性があるという問題だ。

 これについてJeSUでは関係省庁にヒアリングを重ねており、現状ではつぎの結論となっているという。まずひとつは、「賞金・賞品が、参加者や主催者以外の第三者(スポンサー)から提供される」場合は、大会参加料の徴収が認められる。

 また、もうひとつは、「参加料が会場費やスタッフの活動費などの大会運営費用にのみ充当される場合」は、認められるという回答も得られたとのことだ。ただしこれについては、参加料運用の透明性や説明責任が付随することになるが、こうしたケースでも問題にならないことが確認されたことは大きい。

 JeSUでは今後も、具体的なケースで、どのようなものであれば問題とならないのかの情報をまとめていき、大会主催者や参加者による賞金提供の実現・サポートに取り組んでいきたいということだ。

 法規制への取り組みについては、このほかにも、ゲーム機を設置したうえで入場料を徴収してプレイさせることが、ゲームセンター営業に該当する可能性があること、いわゆる風俗営業適正化法についても、JeSUではeスポーツの発展と振興のための環境整備として、明快にするよう取り組んでいくとのことだ。

JeSUの海外への取り組みについて

 岡村氏からは最後に、“海外への取り組み”の発表が行われた。JeSUはIOC(国際オリンピック委員会)の指命によって今年からeスポーツ検討会であるELG(Esports and Gaming Liaison Group)に参加したとのことだ。

 ELGではデジタル世界においてのオリンピックの価値やスポーツの価値を高めるべく発足されたもので、eスポーツやゲームコミュニティをオリンピックの基本理念と繋げていくもの。平たく言うと、eスポーツのオリンピック公式協議化を目指していく団体で、JeSUもここに参加して推奨案を提出していくという。

 国際大会への日本代表選手派遣という活動では、AESFの“eアジアカップ”、“e-Mastersトーナメント”、“カレッジ チャンピオンシップ”や、IESFの“ESports World Championships”に選手を派遣する。また、国際会議への参加も、積極的に行っていくということだ。

 発足から約1年半、これまでの活動や、現時点での法規制への回答を発表した岡村氏の講演となった。一筋縄ではいかないどころではないものがあるが、今後も取り組みを続けていくこと、それが新しい価値へと繋がっていくことに期待していきたいところだ。

 なお、岡村氏の講演がひと通り終わったあとには、eスポーツやコンテンツ産業について、各界の著名人から以下のようなコメントが寄せられた。

AESF会長 Kenneth Fok氏は、2020年3月に中国・深センで開催される「e-Masters トーナメント」の映像を上映してその規模や熱量をアピールしつつ、「会員と協会が一緒に成長できる、活気のあの場面を作り上げたい」とし、「アジアのeスポーツの未来は輝いており、いずれは誰もがeスポーツに参加できるようになればと思います」と語った。
Sun Media Group President Xing Jing氏は、「時が経つにつれて、日本のコンソールゲーム、アーケードゲーム、コミック、アニメーション製品は、世界中の何代にもわたって大きな影響を与え続けています。日本はeゲームの頂点に立っていると言えます。」と日本のサブカルチャーを尊重。また、「近年日本ではAI技術の革新的な開発が行われていること、そしてそうした技術がeスポーツ業界にも取り入れられることを期待する」と語った。
コナミデジタルエンタテインメント 執行役員 事業推進本部 本部長 石原靖士氏は、昨年にインドネシアで行われたアジア協議大会にて、デモンストレーション協議として初めてeスポーツが行われたこと、その種目に同社の『ウィニングイレブン』が採用されたことを紹介し、コナミでは「e-Football構想」を掲げ、eスポーツをスポーツとして高めていくための一助となれるよう取り組むことを語った。