2019年9月12日(木)より、『Fate/Grand Order』(以下、FGO)×リアル脱出ゲーム“謎特異点II ピラミッドからの脱出”の横浜公演が開始。本稿では、横浜公演終了後に行われたスタッフトークイベントの模様をリポートする。

 トークイベントには“FGOスタジオ”のスタジオ長であり同作のマーケティングディレクター・バスター石倉氏とSCRAP シナリオ・コンテンツ制作ディレクターの平井真貴氏が出演。『FGO』のリアル脱出ゲーム2作目にあたる“謎特異点II ピラミッドからの脱出”について、数々の裏話が披露された。

こだわりポイントはマスター体験とリアル脱出ゲーム史上最大級のゲームキット

 トークイベント最初のテーマは、“謎特異点II ピラミッドからの脱出”でこだわったポイント。平井氏から本作のテーマがピラミッドに決まるまでの苦労が語られた。

 じつは“ピラミッドからの脱出”に決まるまでに30~40もの案があり、一度すべてボツになってしまったという。そこからひねり出したのが、“リアル脱出ゲーム史上最大級”といわれる今回のゲームキット。

 なんと、ふだんは絶対に公開できないゲームキットだが、今回の記事に限り特別に掲載許可をいただいた。“謎特異点II ピラミッドからの脱出”にまだ参加していない人は、以下の画像に括目してほしい。

本邦初公開となるゲームキット。ぜひ実際に現場で見て、絶望感に浸ってほしい。

 できるだけ、アナログな部分をユーザーに楽しんでもらいたいと信条を語る平井氏。このピラミッド型のゲームキットを制作することを決めた際には、あまりに複雑だったためにSCRAPの技術スタッフから怒れてしまったエピソードを明かした。その複雑さは、筆者もゲーム開始時に目の当たりにした瞬間、「これは何をどうすればいいんだ……」と絶望してしまい、1~2分間、考えることを放棄してしまったほどだ。

 続いて、平井氏が前作“謎特異点I ベーカー街からの脱出”との違いを解説。前作では新宿のアーチャーがキーキャラクターとなっていたため、とにかく謎を詰め込み、意図的にいやらしくしたそうだ。今回は“ピラミッドからの脱出”ということで、より冒険感を演出。自分がマスターだと感じられるような演出や謎を組み込んだという。

 フルボイス化も前作からアップデートされた点として挙げられた。前作ではオープニングとエンディング、チェックポイントで少し聞けた登場キャラクターたちのボイスだが、今作では随所に盛り込まれている。自身が令呪を使うことによって、サーヴァントがボイス付きの宝具でリアクションしてくれることも、より一層ゲームに気持ちが入る、マスター体験を向上させる要素だ。

前作と今作の全国の脱出率が公開

 続いてのテーマは“脱出率”。ここで前作“謎特異点I ベーカー街からの脱出”と今作“謎特異点II ピラミッドからの脱出”の脱出率がスライドにて公開された。

 前作の平均13.8%に対して今作が19.0%と、脱出率が大きく上がっていることがわかる。

 平井氏によると、リアル脱出ゲームの成功率はだいたい20%前後に設定するという。前回も20%を狙っていたそうだが、“うっかり”難しくなりすぎてしまった結果、全国の平均脱出率が13.8%という結果になったそうだ。

 その“うっかり”について、アニプレックスやディライトワークスのスタッフがデバッグプレイですらすら謎を解いてしまったことが原因と平井氏。「もうちょっと難しくしないと」と調整していった結果、前作が難しくなってしまったという。

 今作ではその反省を生かして、もう少し解きやすく調整した結果、ほぼ狙い通りの20%になった。今作のゲームキットは一見すると複雑さに絶望してしまうが、じつはよく考えて仲間と協力すると解けるように設定していたそうで、うまくいった点だと自信をのぞかせた。

 また、前作“謎特異点I ベーカー街からの脱出”が初めてのリアル脱出ゲーム体験だったユーザーも多かったようで、今作が開催されるまでにいろいろな脱出ゲームを体験し、腕を上げたユーザーが多かったことも、脱出率が上がった理由だと平井氏は考察していた。

 ちなみに、前作の大謎は何度も作り直したそうだが、今作はユーザーにやってもらいたいことが決まっていたため、初期から固まっていたという。そのやってもらいたいことは……ネタバレになるため言及はできない。言えるのは、『Fate』ファンなら誰しも一度はやってみたい、その場に居合わせたいと思う内容ということだけだ。

横浜公演初日には16チームが参加。なんと4チームも脱出成功していた。

『FGO』関係者で脱出できたのは?

 脱出成功率の話題から、『FGO』声優陣の脱出者の話題に。今作には高橋李依さん(マシュ役)、田中美海さん(ニトクリス、ワルキューレ・オルトリンデ役)、植田佳奈さん(イシュタル、エレシュキガル役)、赤羽根健治さん(カドック・ゼムルプス役)、種田梨沙さん(清姫、マタ・ハリ、マリー・アントワネット役)、悠木碧さん(沖田総司、沖田総司〔オルタ〕、酒呑童子、大いなる石像神役)、大久保瑠美さん(エリザベート・バートリー、アストルフォ役)、佐藤聡美さん(ミドラーシュのキャスター役)、大和田仁美さん(アビゲイル・ウィリアムズ役)とそうそうたるメンバーが挑戦したそうだが、脱出できたのは2名だけだったという。

 脱出成功者は、なんと“カルデア・ラジオ局”でおなじみの高橋さんと田中さん。高橋さんはリアル脱出ゲームがお好きなようで、経験豊富だったことが大きいかもしれない。

 ちなみに、植田さんがパートナーとしてエミヤを召喚するというエモーショナルな展開もあったそうだ。脱出失敗したのは、大事なところで失敗してしまう“うっか凛”属性が発動してしまったからだろうか?

次の謎特異点はどうなる?

 スタッフトークの最後には、これまで募集したユーザーアンケートのコメントから一部抜粋した内容が公開された。シール令呪のコメントに対して平井氏は、何度も声をあげて呪文を唱えてもらうことで、恥ずかしさをなくしてもらうことが狙いだったことを明かした。

 どんな“FGO×リアル脱出ゲーム”があったら参加したいですか? という質問に対しては、キャメロット/円卓からの脱出やバビロニア神殿/ギルガメッシュの宝物庫からの脱出、各異聞帯からの脱出(インド、シンなど)、監獄塔からの脱出などのコメントがあった。

 このほかにも、ただ単に「ロビンフッドを出してくれ」や、一言「和鯖」、「アンデルセン」などと答えるユーザーも多かったとのこと。アンケートについてはスタッフもかなり気にしているそうで、ユーザーアンケートの結果によって舞台がピラミッドになった経緯もある。参加した際には、ぜひアンケートに答えてほしいと案内があった。

 今後のリアル脱出ゲームについて平井氏は、「もっとマスター体験を強化したい」とコメント。自分はマスターなんだと、日常生活でも勘違いできるようなものを作りたいと意気込みを語っていた。

 と、そんな意気込みを熱く語りつつも、次回の開催が決まっているわけではないという。開催されないかもしれないので、参加した際にはSNSなどで感想をぜひ投稿してほしいとのこと。

 ちなみに、平井氏個人的には『FGO』をプレイしているからには円卓をテーマにしてみたいそうだ。理由は、キャメロットから『FGO』にハマったからだという。ここですかさず“ガウェインからの脱出”という声があがり、会場は笑いに包まれた。

 最後にバスター石倉氏から「皆さんの楽しそうな声が聞けてうれしかったです。平井さんは来年も続きそうな話をしていましたが、皆さんがまた遊びに来ていただけるようであれば、新しい特異点を楽しんでいただけるように作りたいと思いますので、その際はぜひよろしくお願いします」、平井氏から「リアル脱出ゲームは物語体験を楽しんでもらうことをベースに作っているので、皆さんがどういうふうに感じてくれたか、アンケートをよく見ています。次にどういうタイトルにするか、できるだけ作り出そうと思っていますので、SNSで投稿したり、周りの友だちにこんな体験がしたいと積極的に話をしていただければ、次の謎特異点の実現も近づいてくると思います」と挨拶があり、スタッフトークイベントは終了となった。

まずは“謎特異点II ピラミッドからの脱出”出張ライト版を体験してみよう

 “FGO Fes. 2019 ~カルデアパーク~”の公式サイトでは、マシュとLINEをしながら謎を解く“謎特異点II ピラミッドからの脱出”出張ライト版が公開されている。

 本編とは違って脱出成功率が100%になるように設定されているので、リアル脱出ゲーム未経験のマスターは気軽に体験してみてほしい。記事掲載時点(9月13日20:00)では、まだ横浜公演のチケットを購入できるようなので、出張ライト版が気に入った場合は本編に参加してみてはいかがだろうか?