だまされたと思って一度見るべきレースがMotoGP

 30年ほど前にはF1ブームがあったけど、地上波で放送される国際レースはいまや皆無。若者たちにしてみれば、かつて国内でレースが盛り上がった時代があったなんて信じられないでしょう? いまバイクだクルマだ言われてもぜんぜん流行ってないしね。「そんなん見るならYouTube見るわ」ってなる。ええ、わかりますとも。

 でも、そんな状況のなか、あえて筆者はモータースポーツ観戦や視聴をプッシュしたい。理由はシンプルで「おもしろいと思うから」。でも、ヘンなレースを見て「レースってこんなもんか」なんて思われたらたまったものじゃない。そこでオススメするのが排気量1000ccクラスのバイクでくり広げられるレース、MotoGPなんですよ! 筆者の肌感覚では、おそらくいま世界で最高におもしろいレースがこれ。なにしろ、絶対的なスターライダーはいるし、それ以外にもタレントがやたら豊富。言うなればアベンジャーズ状態で、その超人たちがバトルロイヤルしているようなものなんです!(やや誇張)

 今回はそんなMotoGPの選手をアベンジャーズの面々にむりやりたとえつつ(異論は認めます)、MotoGPの魅力を解説していきたいと思う次第。「ファミ通.comでやるべき内容か?」と白い目を向ける編集者たちを筆者の熱意でねじ伏せて記事化したので、乗り物などに興味がある……たとえば過去に『グランツーリスモ』や『リッジレーサー』シリーズで遊んだような人は、ぜひ読み進めてください。ただ、『マリオカート』派の人からすると、ちょっと違うかもしれない。なんかゴメン。

 なお、今回は本日(2019年9月26日)発売されたばかりのゲーム、『MotoGP19』のPS4版を発売前にお借りして記事中の写真を撮影しています。MotoGPがわかると同作のおもしろさもグンと上がるし、観戦に最適な遊びかたもあったりするのだけど、それは後述します。ファミ通.comはゲームに関するアレコレを扱う媒体だから、こういうゲーム的なフックがないとネ! では、細かいことは気にせず、さっそく本題へ!!

MotoGPを彩るスターたちの代表格はこの人たち!

 というわけで、MotoGPの現役ライダー(2019年9月22日現在)の中でも、とくに注目すべき人々を解説していきます。と、ここまで書いて「アベンジャーズとか知らない人もいるよね?」ってちょっと思ったけど、そういう方は完全スルーしていただければ。そもそも、たとえも超個人的な見解だし、わかる人だけ「そういうもんかい?」と思ってくれればいいです、ハイ。

“生ける伝説”バレンティーノ・ロッシ

 うっすら名前を聞いたこともある人もいるかもしれないけれど、御年40歳を迎えたヤマハ所属の最高齢イタリア人選手。バイクレースの最高峰クラスがMotoGPと改名される前の2000年シーズンから最高峰クラスで活躍しており、最高峰クラスでの年間チャンピオン獲得回数はなんと7回というとてつもない記録を持っている。しかも、単に長くやっているだけではなく、今年もちゃんと表彰台に上り、成績もそれなりなのが恐ろしい。MotoGPライダーたちの精神的支柱のような面もある人物なので、アベンジャーズで言えばキャプテン・アメリカ、あるいはアイアンマンというポジションかと。

30歳中盤くらいになれば引退してしまう選手が大半なのに、いまだ現役。一時期の常勝無敗感はなくなったけど、だからこそ応援したくなる感じになってきた!

“絶対皇帝”マルク・マルケス

 2013年シーズンに最高峰クラスMotoGPに参戦し、その年に年間チャンピオンを獲得。現在までにMotoGPで計5回の年間チャンピオンを獲っているという、ホンダが誇るスペイン人の怪物ライダー。その走りは異次元で、バイクをヒジ(ヒザじゃないよ!)が擦れるまで倒してコーナーを駆けていく独特のスタイルを確立したスゴイ人。そのスタイルのためにバイクの倒れる物理限界(マフラーやステップが路面に当たる角度)を引き上げたとも言われている。今年も、彼が年間チャンピオンを獲ることはほぼ確実。その圧倒的な能力は……キャプテン・マーベル級!?

「ストップ・ザ・マルケス」が合言葉になるくらい、手のつけられない速さを誇る選手。ちなみに、現実のレースではこの写真よりさらにバイクを倒すこともあるから恐ろしい。

“ミスターいぶし銀”アンドレア・ドビツィオーゾ

 イタリアのバイクメーカー、ドゥカティのマシンを駆るイタリア人。2008年シーズンにMotoGPに初参戦するもしばらく優勝とは縁遠いシーズンを送り、年間順位は3~8位をフラフラしていた。しかし、2017年シーズンからは遅咲きの才能を開花。見違えるように優勝できるようになったものの、年間タイトルはマルケスに奪われ続けるという切ない状況が続いている。重要キャラでありながら、ちょっと地味な感じは、アベンジャーズで言うところのホークアイ(矢の人)っぽい。

昨年、一昨年と2年連続で年間チャンピオンシップ2位。今シーズンも2位の座が濃厚で、「マルケスさえいなければ」の代表格。彼が勝つとなんだかうれしいという人も少なくない(!?)。

“ニュースター”ファビオ・クアッタハッホ

 20歳のフランス人ライダーで、ヤマハがマシン供給を行っているチームに所属。MotoGPに至るまでに数々の最年少記録を塗り替えてきた天才で、彼のためルール改正が行われたこともあるほど。MotoGPの下位カテゴリではパッとしない成績だったので、早熟選手だと思われていたが……MotoGPデビューを果たした今年の中盤から覚醒。何度も表彰台に上るようになった。皇帝マルケスとも激しいバトルを演じており、今後の活躍が期待される若手のホープ。そういう意味では、アベンジャーズにおけるスパイダーマン的な立ち位置の選手かも。

2019年シーズン後半の躍進ぶりはまさに衝撃。この成績を誰も予想していなかったのは、『MotoGP19』で彼が20位前後を走っていることが多いことからもよくわかる。

“青い稲妻”アレックス・リンス

 スペイン出身のライダーで、2017年にMotoGPに昇格。一時期参戦を休止していたスズキの復活3年目となるシーズンからエースライダーとしてレースに参戦。2019年シーズンは皇帝マルケスと一騎討ちの末に勝利するなどの活躍を見せ、その実力を世に知らしめた。今シーズンはすでに2度の優勝を果たしていて、成績も上々。本人はお茶目キャラではないと思うが、チームに加入してから比較的短期間でそれなりの結果を残しているところは、アントマンっぽいと言えなくもない気が。

うまくハマれば、やたらと速い選手の一角。そうでないときでも10位以内には食い込む能力は持っている。総合的にはMotoGPのトップ5に入るくらいの実力だろう。

“墜ちた巨星”ホルヘ・ロレンソ

 これまでに3度の年間チャンピオンを獲得しているライダー。かつてはマルケスの優勝を阻止したこともある男だが、近年はマシンとの相性が悪いようで好成績は残せていない。しかし、その実力は間違いなく一線級。すべてがハマったときのスピードは圧倒的で、いつそれが顔をのぞかせてもおかしくない。そういう意味では、全盛期はハルク、いまは変身前(ブルース・バナー博士)といった感じかもしれない。

ワールドチャンピオン経験者としては、やや不甲斐ない成績が多い今シーズン。2019年はチーム移籍直後のシーズンだったので、いろいろうまくいかなかったのかも。

“悩める天才”マーベリック・ビニャーレス

 2015年シーズンにMotoGPデビューを飾った、スペイン人ライダー。非力なスズキのマシンで好成績を収めた非凡な才能に注目が集まり、2017年シーズンからは名門ヤマハへ移籍してロッシのチームメイトになった。ヤマハ1年目にはそれなりの成績を残すも、以降は伸び悩みを感じるようなポジションに甘んじている。だが、かつてはワールドチャンピオンも狙える逸材と言われていただけに、今後に注目。潜在能力は、アベンジャーズのブラックパンサーくらいはあるはずなので!(ソーだと、ちょっと言い過ぎになりそう)。

優勝こそしているものの、今年はピリッとしない成績だったビニャーレス。ロッシの成績もあまりよくないので、もしかすると問題は……ヤマハのマシン!?

“日本の希望の星”中上貴晶

 2018年シーズンからMotoGPに参戦している日本人ライダー。ホンダがマシン供給をしているチームに所属している。下位カテゴリのMoto2では優勝を経験したこともあるのだが、さすがにタレント揃いのMotoGPでは苦戦気味で、毎レース10位前後という中位の成績を残すケースが多い。とはいえ、本戦前のフリー練習ではトップライダーに並ぶタイムを叩き出すこともあり、まだまだ伸びしろはあるような気配も。戦いでもっとスゴい活躍を期待できそうな雰囲気は、アベンジャーズで言うとスター・ロード的な感じか。

トップ選手とは実力差があるけれど、10位くらいを走る実力はある。ひと波乱あれば表彰台に乗ることだって夢じゃないんだけどなあ。あとは地力をつけてくれれば!

 と、ざっと注目選手を挙げただけでもこんな感じに。本当は雨のレースにやたら強いペトルッチとか、兄弟ともにMotoGPで走っているエスパロガロとか、もっとマニアックな選手も紹介したいのだけれど……あまり多すぎてもナニなのでこの程度に留めてみた(これでも目が滑る人もいそうだし……)。

 なお、ロレンソと中上を除けば、ピックアップした選手はだいたいに上位には食い込むので、初めてMotoGPを見る際は、ひとまず応援する選手の参考にしてみるといい感じです。

MotoGPにハマれそうな人はMoto3にも注目!

 実際にレースを見てもらわないと、MotoGPにハマるかどうかはわからない。けれど、「もしもハマったら」という前提で、その先に見てほしいレースを併せて紹介しておこうと思う。

 じつはMotoGPには同日に開催される下位カテゴリのレースがふたつあり、それぞれ排気量600ccクラスのマシンで戦うMoto2と、排気量250ccクラスのマシンで戦うMoto3となっている。なかでもMoto3のレース観戦は、日本人には超オススメ!

 なぜなら、5人の日本人ライダーがレギュラー参戦しているので、応援する先には事欠かないから! しかも、2019年シーズンでは鳥羽海渡と鈴木竜生がすでに優勝を獲得しているし、さらにルーキーの小椋藍も2位を獲得しているしで……どのレースで誰かが優勝してもおかしくない雰囲気になっているんだからたまらない!

 さすがに年間チャンピオン獲得を語るにはまだ早い面々だけど、全員がまだ若いのでMoto3での優勝、あるいはMotoGPクラスで活躍する未来も少なからず見える感じなのだ。

 というわけで、サッカーの日本代表戦などで熱くなれるタイプの人は、このMoto3にもけっこうハマると思うので、MotoGPでおもしろさを感じたらこちらもどうぞ。

今年はコンスタントにいい成績を収めている鈴木竜生。「もうちょっと転倒が少なくなれば、Moto3チャンピオンも見えてくるのに」っていうくらいには速い選手!

MotoGPをもっと楽しく見るために

 MotoGPの魅力を端的に語ってきたわけだけど、これをもっとおもしろく見る方法がある。それは筆者もやっていることなのだが、レースが行われる前に『MotoGP 19』でそのレースと同じコースを走っておくこと!

 サーキットやマシン性能をガチ再現している本作でこれをやると、どのコーナーが比較的簡単で、どのコーナーが難しいかをダイレクトに体験できる! ゲーム中で走ってみるだけでも、実際のライダーたちがどれだけ狂ったスピードで走っているかがよくわかるはずだし、彼らのラップタイムに対する感じかたもかなり変わってくる。これはゲームをプレイしていないとできない観戦スタイルなので、MotoGPを見てみようと思ったのなら、ぜひこれも体験してみてほしい。

この記事が掲載されるタイミングなら、2019年10月6日に行われるタイGPのシミュレーションをしておく感じ。そのさらに2週後は、ツインリンクもてぎの日本GPだ!

 なお、本作には“キャリアモード”というものも入っていて、そのモードで遊べばMoto3やさらにその下のカテゴリからレースを始め、自分の実力でトップライダーに成り上がっていく流れも体験できる。Moto3の日本人ライダーたちに先駆け、みずからのキャラクターをMotoGPに昇格させるという遊びもおもしろい。

 さらに、「昔はバイクレースを見ていたんだけど、最近はぜんぜん見てないな」という方にオススメの、歴史チャレンジも収録。かつての伝説のライダーたちと同じ状況でレースを走る楽しみも用意されているので、MotoGP観戦に戻ってくるツールとして考えてみるのもいいかもしれない。

歴史チャレンジには、不幸な事故で亡くなった日本の伝説的ライダー、加藤大治郎選手のミッションも収録。日本人ではほかにも宇川徹、中野真矢の歴史チャレンジが用意されている。「この時代なら見てた!」って人もいるのでは?

 ほかにも、グラフィックエディタで自分デザインのマシンを作れるようになっていたり、AIが賢くなっていたりと、過去作から細かなアップデートが行われており、ゲームとしても進化している本作。だが、そのあたりはシリーズファンに楽しんでいただくとして、「初めまして」の方にはぜひ“観戦のおとも”として楽しんでもらえればと思う。

オートバイレースの世界選手権MotoGP、2019年シーズン公式ゲーム『MotoGP19』は2019年9月26日に発売

2019年公式コンテンツに加え、新たなモードや機能を導入

 2019年の公式レーストラック(全19種)や選手の所属チーム情報が更新され、MotoGP、Moto2、Moto3、Red Bull MotoGPルーキーズカップの他に、本作から電動バイクでレースを行うMotoEが追加参戦!

 電動バイクがゲームに収録されるのは本作が初となるため、世界中のバイク業界で注目の的となっている。

キャリアモードに追加された“プロキャリア”

 “Red Bull ルーキーズ カップ”からスタートし、公式レースに挑みながらMotoGPの本戦に出場するまでのサクセスストーリーを体験できるのがキャリアモード。本作ではいきなりMotoGP本戦からスタートする高難度の“プロキャリア”が追加された。アマチュアではなくプロライダーとしてスタートし、高い難易度のレースを勝ち抜いていく"ガチ勢"向けモードだ。

歴代ライダーで名レースを楽しめる“歴史チャレンジモード”

 新たに追加された“歴史チャレンジモード”は、リアルに再現された50種類以上の歴史に残る名レースを体験できるファン待望のモード。元MotoGPライダーの中野真矢選手など、前作の『MotoGP18』ではプレイできなかったレジェンドライダー達が参戦する。

 また、19の公式トラック以外にレジェンド枠として“Laguna Seca 2013”、“ Donington 2009”、“Catalunya 2015”のレースコースも収録されている。

アバターやマシン等、カスタマイズも更に自由に!

 前作でも可能だったレースウェアのデザインやカラーリング変更の要素は踏襲。さらに本作からはヘルメットやゼッケンのカスタマイズ機能も追加された。

 カスタマイズしたオリジナルデザインはオンライン上で共有でき、逆にオンライン上にアップされているデザインに好みのものがあればダウンロードして使用する事も可能に。

 自分好みのデザインで、よりゲームが楽しくなること間違いなし!!

『MotoGP19』
対象機種:プレイステーション4 (プレイステーション4 Pro対応)/ニンテンドースイッチ(ダウンロード専売)
発売日:2019年9月26日発売予定
希望小売価格
 プレイステーション4版・7980円+税
 プレイステーション4ダウンロード版・7980円[税込] /ニンテンドースイッチダウンロード版・7980円[税込]
ジャンル:モータースポーツレーシング
プレイ人数
 プレイステーション4版・1人(オフライン)/12人(オンライン)
 ニンテンドースイッチ版:1人~8人(ローカル通信)
CERO:A(全年齢対象)
販売元:オーイズミ・アミュージオ