2019年9月12日~15日、千葉・幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2019(12日、13日はビジネスデイ)。発売が近づく『シェンムーIII』について、YS NET鈴木裕氏にインタビューを実施した。

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 なお、インタビュー前には、『シェンムーIII』の試遊時間も設けられていた。内容としては2019年8月にドイツ・ケルンにて開かれたgamescomでの試遊版とほぼ同一のものだったが、今回は国内メディア向けということもあり、字幕・音声ともに日本語になっていた。

 こちらの試遊版については以下の関連記事、インタビューをご参照いただきたい。

鈴木裕 氏(すずき ゆう)

YS NET代表取締役。1980年代~1990年代にかけて『ハングオン』や『スペースハリアー』、『アウトラン』などのヒット作をつぎつぎと世に送り出し、『バーチャファイター』シリーズは社会現象ともなった。1999年にドリームキャスト用ソフト『シェンムー 一章 横須賀』、2001年に『シェンムーⅡ』をセガ(現・セガゲームス)から発売。現在、18年ぶりの発売となる続編『シェンムーⅢ』を開発中。文中は鈴木。

「バトルはよくなっています、さらに磨きをかけます」

――インタビューの前に試遊させていただいたのですが、内容はgamescomのものと同じですか? 言語が日本語になっている以外に、モニターの具合なのかもしれませんが、キャラクターの肌の質感が変わったように見えました。

鈴木内容としてはいっしょです。肌はどうだったかな、現在の作業はブラッシュアップとチューニングを続いけていて、それが反映されているバージョンなので、細部は変わっているかもしれないです。

――また、僕が慣れたのかもしれないのですけど、1ヵ月前のgamescomのバージョンよりもバトル部分の気持ちよさが増しているようにも感じました。

鈴木そこはまさに、バトルの調整は力を入れてやっているので、よくなっていると思います。発売までの期間で、よりよいものにしたいとがんばっています。

※ゲーム画面は英語版のものです。

――今回、初めて日本語版での試遊だったのですが、改めて、主人公の涼を演じる松風雅也さんについて収録時のエピソードなどを教えていただけますか。

鈴木松風くんは『シェンムーIII』では声の出演ですが、『シェンムー 一章 横須賀』や『シェンムーII』のときはモーションキャプチャーや拳法の練習をしてくれたり、宣伝ではコスプレまでしてくれたりと、まさに涼の役になりきるためにいろいろなことをやってくれていたことをよく覚えています。

 愛もあるし、基本的な涼の考えかたや『シェンムー』の世界を理解してくれているので安心ですで、レコーディングのときも、涼のことは安心して任せられていますね。

――セリフの中には「そうですか」とか、前作にも登場している定型句のようなものもありますが、そういったものも『シェンムーIII』ではすべてあらたに収録しているのですか?

鈴木もちろんそうです。トーンが変わってしまいますから。たとえば朝と夜でもトーンは変わりますし、20年前とは違いますからね。意識しないと松風くんもすこしダンディーに男っぽい声になりますので、すこしヤングに「昔の涼風に、ちょっとワイルドにお願いします」と指示を出したりしていました。

――現実世界では20年経っていますが、涼は年取ってないですものね。また、今回は莎花の声が照井春佳さんに変わっていますが、莎花の声を照井さんに決めた決定打というか理由は何だったでしょうか?

鈴木オーディションをして、自分のイメージに近い人をということなのですが、以前の声を決めるときもそうだったのですが、自分の持っている莎花のイメージにもっとも近い声の方を照らし合わせて決めたということですね。

 アメリカ版、英語の莎花の声も新たにオーディションをしたのですが、声が照井さんにそっくりなんですよ。あの声で日本語をしゃべったら照井さんになるのではないかというくらい(笑)。日本語も、英語もとてもいい方を見つけることができました。

――オーディションはどのようなセリフで行ったのですか?

鈴木白鹿村に伝わる「そのもの東の外つ国より……」という詩の朗読や、何種類か、声色を変えてもらいながら何テイクか行いました。総勢で50~60名の方から選びましたね。

――そんなにたくさんいらっしゃったのですね。照井さんも、「大勢の方に祝福された」とステージでおっしゃっていましたね。あのステージの感想はいかがでしたか?

鈴木照井さんの……「シェンムーの感想は“引き出し”」はよかったですね(笑)。

――プレイの感想を聞かれて「いろいろな引き出しが開けられて、しかもその中に違ったものが入っていてすごい」と語っていましたね。

鈴木すばらしかったですね(笑)。シェンムーの最大の魅力は引き出しだ……って言われるようになっちゃうかもしれない(笑)。何らかの形でシェンムーのよさが伝わったらな良かったかなと思いますね、照井さんのおかげで盛り上げていただいて。

――「自分の家よりも引き出しがたくさんある」とも言っていました(笑)。また、ステージでは松風さんが、「ストリートファイトでお金を稼ぐこともできる」と言っていましたが、『シェンムーII』のような、対戦形式でバトルに勝つとお金が増える方法もあるのですね。

鈴木ええ、あります。

――新たに公開されたPVではレンが登場しました。

――そのほか、前作までに登場した原崎望やゴローなどのキャラクターには、電話をかけて近況を聞けるシステムがあると以前おっしゃっていました。このあたりの仕様はそのまま実装されていますか?

鈴木ええ、電話が掛けられるようになっています。通常バージョンを購入される方も電話はかけられますし、キックスターターで出資したバッカーは特別なものがプラスアルファーで聞けるようになっています。

――特別なものというのは、人が増えるのですか? それとも内容が特別?

鈴木内容ですね、特別な内容のものがプラスアルファーで増えるという形です。

――この月が出ている町も、きれいですねえ。

鈴木ええ。今回、月齢も変わるようにしています。人によっては、町を訪れたときに、満月だったり、三日月だったりすると思うんですね。

――へええ! 前作でも天気が変わっていましたが、今回はお月さまも変わると。満月だととくに思い出深いシーンになりそうです。ゲームの内容についてもすこし伺います。お店では、お酒が売っていましたが、あれ、涼は飲むことができないですよね?

鈴木そうですね、未成年なので。

――それでは、どのように使うのでしょう? コレクションアイテムですか?

鈴木売ることができると思います。

――ガチャガチャと同じように、何種類かを揃えてセットで売ると高くなるとか?

鈴木それは……内緒(笑)。

――内緒(笑)。わかりました、あと、今回、“ガチャガチャ”という名称だったものが“グルッパ”という名前になっていたのは何か意味があるのですか?

鈴木登録商標か何かに引っかかったと思います。グルッパというのは、グルッと回してパッと出る、みたいな(笑)。

――シンプル!(笑)

『III』で物語は完結しない。続編の可能性は?

――gamescomの際のインタビューで、改めて「『III』で物語が完結するわけではない」とお聞きしまして、では、まだ『シェンムーIII』の発売前から気が早すぎる質問なのですが、『シェンムーIV』とか、続編の可能性についてはどのようにお考えでしょうか。

鈴木ファンの方が「続けてほしい」と言っていただける限り、諦めずにこのシリーズを作り続けようとは思っています。無理矢理終わりにすることがゲームとしていちばんいいことだとは思っていないので、いい形になればいいと思っています。

――それでは、発売まで2ヵ月というタイミングになり、じわじわと発売日が近づいていますが、発売を待ち望んでいるファンにメッセージをお願いします。

鈴木はい、長いあいだお待たせしました。正直なところ、ファンのことを思いながら作ったので、この気持ちがファンの方に届いてくれたらいいなと思っています。

 また、新しくプレイされる方、類似するゲームがないので、気持ちをけっこうゆったりと、お風呂にゆっくり浸かるような感じでしょうかねえ。世の中忙しくなってきていますから、『シェンムー』でも休息がてらやってもらって。

 このゲームはほっこりしたところがあるので。何も考えずに『シェンムー』を遊んで、そういう体験をしてほしいなと思います。