本日(2019年9月26日)発売となった、プレイステーション4用ソフト『イースIX -モンストルム・ノクス-』(以下、『イースIX』)。本作は、絶海の孤島が冒険の舞台だった前作から一転、さまざまな人々が暮らす“監獄都市バルドゥーク”を舞台に、稀代の冒険家アドル・クリスティンの新たな冒険を描いていく。

 当記事では、週刊ファミ通の特集原稿(こちらの記事を参照)を書き終えた後にも夢中でプレイを続け、とうとうゲームクリアーまで遊んでしまった(『閃の軌跡IV』のときもそうだった(笑))担当ライターが、本作の魅力を紹介していく。

物語の舞台、バルドゥーク。人々が行き交う中央区や、貧しい人々が集う貧民街、繁華街や農耕区など、多数のエリアで構成されている。最奥に、都市を象徴する監獄がそびえ立つ。

まずは改めて『イース』シリーズの魅力をチェック!

 『イース』シリーズの歴史は長い。第1作が1987年に発売されて以来、さまざまなプラットフォームで展開しながら、着実にファンを増やしてきたシリーズだ。作品によってアドルが冒険した年齢や舞台が異なり、ナンバリングごとに時系列が並んでいないのも特徴。今回はシリーズの時系列的に、最新の物語が描かれることもあってファンの期待も大きい。まずは、どのシリーズにもほぼ共通して言える魅力を羅列してみよう。

●魅力1:
 シンプル操作で行える、ハイスピードな爽快アクション
●魅力2:
 古代遺跡や密林、山岳地帯など、多彩なフィールドの探索
●魅力3:
 ひと癖もふた癖もある登場人物たちが織り成すドラマ
●魅力4:
 場面によく合った、感情を揺さぶる数々のサウンド
●魅力5:
 考察しがいのある世界観設定

 細かく述べるとまだまだ魅力はあるが、おおむねこの5つだろう。このほか、冒険先で出会う各作品のメインヒロインや仲間の女性たちから、必ず誰かしらに好意を抱かれる(羨ましい)主人公、アドルの持つ人柄も魅力と言えるかもしれない(笑)。

『イースIX』のアドルの姿。本来の彼は赤毛だが、本作では手配中の身ということもあり、髪を黒くしている。

本作特有のアクションを駆使したバトルと探索がおもしろい!

 本作では“怪人”たちを操作して、バトルや都市、ダンジョンを探索していくことになる。シリーズでおなじみの、ボタン連打で簡単にコンボをくり出せるスピーディーなバトルも健在だ。前作『イースVIII』でもあった、敵の攻撃をギリギリで回避(防御)することで無敵状態になれる“フラッシュムーブ(ガード)”もあるため、前作をプレイ済みの人はよりスムーズに本作の戦闘も楽しめるだろう。

敵の攻撃をギリギリで避けたり防御するリスクはあるものの、成功時のメリットも大きいフラッシュムーブとフラッシュガード。慣れるほど戦闘が楽しくなること必至。

 さらに本作では、怪人たちが持つ“異能”を使ったアクションも楽しめる。今回は、これが肝と言っても過言ではない。


【第III部までに仲間になる怪人の異能】
●赤の王:
 王者の道(クリムゾンライン)……離れた場所へ一瞬で移動する
●白猫:
 天空散歩(ヘヴンズラン)……垂直の壁を駆け上がる
●鷹:
 猛禽の翼(ハンターグライド)……長時間の滑空を行う

 これらの能力が、バトルや探索で大活躍する。たとえば“王者の道”は移動手段だが、ロックオンした敵に使えば一瞬で距離を詰められる。“猛禽の翼”も、地面に継続ダメージを与える攻撃を飛んでやり過ごすなど、使いかた次第でテクニカルな戦闘が楽しめるのだ。

 探索面では、一見行き止まりの場所でも、壁を駆け上がった先に通路があったり、ジャンプでは絶対に届かない対岸まで滑空で渡ったりと、異能を駆使して新たな道を進む楽しさがある。本作は街の高低差が大きく、ダンジョンもかなり立体的。そのため、いままでのシリーズにはなかった“高さ”を意識した探索や移動を行うのがおもしろい作りになっている。

軽快に壁を上る白猫。仲間になった怪人の異能は共有されるため、物語が進むほどできることが増えていく。
異能を駆使すれば、こんな高所にも到達できる。眼下に広がる都市内はすべて自由に探索可能!(最初は探索範囲が限られているが、物語が進むと範囲が広がる)

謎に満ちたストーリーから目が離せない

 『イース』シリーズには謎が付きものだが、本作ではとくにそれが顕著。邪霊たちが集う“グリムワルドの夜”とは? 怪人を集めて邪霊と戦わせるアプリリスの目的は? 監獄に隠された秘密は? ……などなど、序盤から一気に謎が提示される。そうした謎を抱えたまま、怪人ひとりひとりに焦点を当てたエピソードが展開。その過程で少しずつ各種の謎も明らかになっていく形で物語が進んでいくため、つねに「早く物語を進めたい!」という気持ちにさせられる。

異空間で無数の魔物と戦うグリムワルドの夜。敵が大挙で押し寄せてくるうえ、“スフェン”と呼ばれる物体を壊されると負けなので、忙しい(笑)。

 個人的には、アドルと“赤の王”の関係は「どういうことだ!?」と驚いた。謎が明かされぬまま物語は進み、謎の答え合わせがされる終盤で「なるほどそういうことか……!」と納得。振り返ってみれば、怪人たちには全員“ある共通点”があり、それまでに戦った一部のボスも、答えにつながるヒントになっていたりと伏線がすごい。アプリリスの目的や正体なども、冒険の途中で勘のいい人なら気付けるような流れになっており、序盤から中盤ではモヤモヤが晴れずに焦らされたぶん、終盤で一気にスッキリするので充足感が得られるニクイ作り。

過去シリーズで登場したボスが再び。じつは単なるファンサービスじゃない…!?

 もちろん、ストーリーを盛り上げるキャラクター自体も魅力的。第一印象で僕っ娘だとばかり思っていた白猫の素だったり、徹底的に固そうなイングリド尋問官も割とユニークな言動が目立ったりと、メインキャラクターからサブキャラクターまで味のある人物ばかり。『軌跡』シリーズでもそうだが、そうした人物のメモを埋めていくのも醍醐味。

あるイベントでその高い実力を見せつけ、意味深なことまで言うシャトラール団長。
筆者の本作のイチオシキャラクター。性格はもちろん、戦闘でも使いやすいので最後まで活躍してもらった。

やり込み要素も豊富で遊び応え満点!

 メインストーリーとは関係ないお楽しみ要素も盛りだくさん。冒険につきものの宝箱を見つけるのはもちろん、都市やダンジョンの踏破率を上げたり、街中に隠された“蒼い花びら”や“落書き”の収集といったやり込み要素もある。いずれも一定数集めることで便利なアイテムを報酬としてもらえるため、ついつい夢中になって探索してしまう。“地図には記されているのにまだ入手できない宝箱”なども出てくるので、探求心がくすぐられること必至だ。そのほか、物語を進めると続々と受けられるようになるクエストも、メインストーリーの補足的なエピソードがくり広げられたりするので、それらをしっかり追うことで物語をより深く楽しめる。

どれだけアイテムを集められたかは、広域マップで確認できるのも親切。集めたアイテムは、特定の人物に報告することで報酬がもらえる。

丁寧に作られた、完成度の高い1本!

 本作は、シリーズのファンなら間違いなく買って損はない完成度だ。前作のクオリティーがとてつもなく高かっただけに、ファンの期待のハードルが高いかもしれない(筆者もそうだった)が、戦闘や探索は異能アクションのおかげで自由度が大幅に上がり、キャラクターを動かすのが前作以上に楽しくなった。物語の方向性も前作とは異なるが、終盤に加速度的に謎が明かされていく様子はカタルシスを得られるだろう。

アプリリスの正体や使命が、本作の物語の根底に関わり……!?

 ある意味、もっとも前作と異なるのはサウンド。本作は“夜”がテーマのひとつというだけあり、ダークな雰囲気や、あえて不安を煽るような曲が目立つように感じた。もっとも、音楽の好き嫌いはとくに個人差が出る部分なので、前作と比べてどちらがいい悪いは一概に言えない。『イースIX』の序文を引用するなら「どちらでもいいではないか」となる。どちらが優れているか――ではない。どちらも優れているのだ!

 そんなわけで、またひとつ新たに『イース』シリーズの傑作が生まれたと思えるだけの完成度を有する『イースIX』。初回のプレイでは一部キャラクターの情報を見落としてしまったり、そもそも全部の宝箱や落書きなどを発見できなかった。ほかの仕事がひと段落したら、今度は個人的にじっくりと、難易度を上げて遊びたいと思う。

監獄都市でくり広げられる怪人たちの物語。その結末を見届けよう!