超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

前回は「MG ジム Ver.2.0」に「リアルタイプ」シリーズのジムのデカールを使って、デカールの流用法や修復法などを紹介しました。今回はザクIで製作してみましょう。

 

※バックナンバーもあわせてご覧ください。

デカールを使用するのは「1/100 リアルタイプ 旧型ザク」。ジム同様、成形色が通常版とは異なりパッケージイラストに準じたカラーで構成されています。やはり現在のキットとはプロポーションがまったく異なります。果たしてMGにフィットするでしょうか?

 

デカールを貼る前に少々拘ったパーツのトレード。パッケージとキットのデカールデザインの元にもなった当時の大河原氏のイラストでは、ソールや手首がザクIIと同じくグレーで塗られています。手首は不可能ですが、ソールパーツはザクIIのものを使用すれば、イラスト同様の配色となります。またイラストとは異なりますが、ヒザパーツもザクIIのグレーパーツを使用して、ポイント的にカラーリングを変更してみました。

 

さて実際にデカールを貼ってみました。MGは当時のキットに比べ細身のため、前腕側面と胸前面のラインデカールは左右幅を調整しました。

 

またMGではスカートが5ブロックに分割され、下側のラインも旧キットとはまったく異なります。そのためスカートを1周しているラインデカールもブロックごとにカットし貼ることに。

 

肩アーマーの側面には縦のラインデカールと階級章が描かれています。この部分はパーツの合わせ目・分割部分なので、このデカールが合わせ目隠しとして最適。完全に合わせ目が消えなくてもラインデカールを貼ってしまえばご覧のとおり。

 

足首の下側のラインデカールはラインのアールがフィットする部分と、まったくしない部分が存在します。前方部分のアールを優先して貼り込み、後半部分は少々強引に貼り込みます。少々ラインがフィットしなくても、スソが裏側に回ったラインを隠してくれるので、あまり神経質にならなくても大丈夫です。

 

右肩のラインデカールは、旧キットには存在しなかったスジ彫り(ディテール)が存在します。ナンバーも含め、スジ彫りに対して自然な位置になるように調整して貼るようにしましょう。

 

かなり貼り位置を調整したりデカールそのものを切り貼りしたので、シルバリングが出ています。そのようなときはシルバリングが存在する辺りにデザインナイフなどで小さな傷(穴)を開け、その上からデカール糊を塗り込みます。毛細管現象でデカールの裏側に糊が入り込み、キットとデカールを密着させてくれるのでシルバリングは解消可能です。

 

ジムに比べると少々苦労しましたが、無事にすべてのデカールが貼れました。MGキットに付属のマーキングシールとはまったく異なる、“あの頃”を思い出すマーキングデザインがとても感動的です。「やってよかった!」と思う瞬間です。

 

ジムの時と同じく「つや消し」をスプレーしデカールの保護層を作ります。そのあとMr.ウエザリングカラーの「グランドブラウン」でウォッシング。

 

ウォッシング終了。グリーン系の機体なので茶系でウォッシングすることでミリタリー系のグリーンに色味がシフトし、より当時のイラスト風のイメージに近付きました。

 

ここまできたら、1つ派手にウェザリングを行うことにします。Mr.カラー8番の「シルバー」と獣毛の平筆を使って、脚周りに銀ドライブラシを施します。

 

さらに各部のエッジ部分に面相筆を使って銀ハゲチョロを描き込んでみます。若い世代の人には見慣れないフィニッシュ法かもしれませんが、これくらい派手に銀ハゲチョロが描き込まれた作品が当時は主流で、大河原氏のイラストも、このくらい派手にペイントハゲが描かれていました。

 

専用マシンガンはMGのものではなく、旧キットの物を使用。MGのマシンガンよりひと回り大きいので、イラストの印象に近付けられます。バーニアはMr.メタルカラーで塗装し、モノアイも蛍光ピンク、モノアイシールドはスモークグレーでポイント塗装を行います。

 

ザクの頭部はアトハメ加工を行いました。頭部フレームと装甲を接着するのに、ウェーブの「紫外線硬化型接着&充填剤」を使って固定します。クリアーパーツが近くにあるので、通常の瞬間接着剤では白化する危険性があるためです。とくにモノアイシールドをスモークグレーで塗装しているのでわずかな白化でも目立ってしまいます。

 

 

完成!

これで完成です。ジムもザクも「リアルタイプ」シリーズのデカールが思いのほか利用できることがわかりました。個人的にザクIIやドムでも同じことを試して製作してみましたが、旧ザクと同等の工夫できちんと貼れました。やはり近年のデカールデザインと違い、当時のマーキングが入るとハードウェザリングで当時の空気感を楽しみたくなってしまいます。

 

若いモデラーさんには奇異に映るかもしれませんが、たまにはこんなフィニッシュも面白いのではないでしょうか? 皆さんもぜひチャレンジしてみてください。この「リアルタイプ」シリーズはほかにガンダム・ガンキャノン・ゲルググの全7種類が発売されていたので、残りの3種も個人的に作ってみようと思います。完成した際は、本コーナーにおまけ的に掲載しようと思います。

 

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